執筆者:まさや
暴露反応妨害療法(ERP)とは
暴露反応妨害療法(ERP)とは、暴露療法の一種で、不安・恐怖障害を克服するための行動療法の一つです。強迫性障害(OCD)、パニック障害治療で最も使用されています。
「暴露」とは、不安・恐怖を感じるものに対して実体験をしていくことであり、「反応妨害」とは強迫行為をしたくなっても、あえて行為を行わず、安全であるということを学習し意識づけることを意味してます。
簡単にいえば、
「恐怖や不安を抱くものに対して、不安の小さいものから徐々に体験を通して慣れていき不安障害を克服していく」
方法です。
例えば、
潔癖症の人に対しては、不安の小さい汚いものに触った後、手を洗うといった強迫行為を我慢して、「手を洗わなくても大丈夫だ」
と安心であることを意識づけていきます。
慣れてくると、次第に不安の強いものにあげて同じことを繰り返し、不安、障害を克服していきます。
対症となる障害
強迫性障害(OCD)、パニック障害、PTSD、各種の恐怖症や不安症
例)
‧ 潔癖症(汚いと感じるものに触れない、手をずっと洗ってしまう
‧ 確認強迫・・玄関のドアやガスの確認を何度もしてしまう
‧ 縁起強迫・・物事を進める前に様々な儀式をしてしまう
‧ 不完全恐怖・・配置が自分が決めた通りになっていないといけない
‧ 強迫性緩慢・・一つ一つの動作を頭の中で確認してしまう
‧ 収集癖・・集めたものを捨てられずごみ屋敷になっている
暴露反応妨害(ERP)のやり方
暴露反応妨害法は、不安や恐怖を感じる刺激や状況を具体的に10以上あげていき、それらを不安強度の小さいものから順番に10段階に分け、それぞれの段階に0~100点の不安強度(SUD)を付加した「不安階層表」というものを用います。
この「不安階層表」に従って、不安の小さいものから段階的に暴露経験し、対象の不安・恐怖を軽減していきます。
STEP1 不安階層表を作成する。
不安階層表を作らず感覚的に行っていくと進捗率がつかめないため、まず作成にとりかかります。
例)潔癖症の場合
何かものを触ったときの具体例をいくつかあげて、不安度階級別にならべ、SUD値(値の低いものが軽いもの)をつけていく。治したい症状の最終目標を100とする。
No | 具体例 | SUD |
0 | 何も触っていない | 0 |
1 | 着ている服を触る | 10 |
2 | 唾液が手につく | 20 |
3 | 外出したバッグに触れる | 30 |
4 | お金に触る | 40 |
5 | 靴に触る | 50 |
6 | 鼻水 | 60 |
7 | 食器を洗う | 70 |
8 | 手すりに触る | 80 |
9 | 地面の砂が手につく | 90 |
10 | 便器に触る | 100 |
STEP2 実際にSUDの低いものから取り組んでいく
STEP2-1
最初は最もSUDの低い「着ている服を触る」を実施します。
着ている服に手を触り、手を洗う強迫の衝動を抑え1日我慢します。
STEP2-2
何日か実施し、だんだん慣れて不安を感じなくなったら、ランクを1段階あげ、同じように繰り返していきます。
STEP2-3
最終的にSUDが100のところで不安を感じなくなったら終了です。
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